いや~大掃除も終わってもう年末らしい仕事はない。
通常の仕事に戻って…ネームするか……。
そんな大晦日を迎えております。
ダイニングの本棚を大幅に整理したら隠れていた
サライネスさんの『誰も寝てはならぬ』が出てきてしまって、

わー1巻の表紙ナツカシー。

「あ、『だれね』やーん。なちぃー!(←懐かしいの意)」とか言いながら、

ちょっと読んでしまったりしました。もうオモロイこれ。
そんなことをしていると掃除は進まない。
これは、小さなデザイン会社で働くオッサンたちのテキトーな日常の話です。
(奥で指さしているラフな格好のオッサンが社長。笑)
ネーム終わったらゆっくり読み返そう。
あー前置きが長くなりました。
本題に入ります。
項羽と劉邦 King's War、6話のつづきです。
えー前半で、張良(ちょうりょう)さまに助けてもらった項伯(こうはく)は、
張良さまに他の2人の消息をきかれて、顔を曇らせ、
3年後に江東(こうとう)で会おうと約束をしたんだけれど、
「2人が無事でいるのかはわかりません」
とのこと。心配そう。
でも大丈夫です。2人(特に若い方)は元気です。
わたしはよっぽど項伯おじさんの方が大変だと思うよ。
ということで、その頃、項羽(こうう)と、項梁(こうりょう)は。

おや、ここはどこの街かな…。
たぶん、会稽(かいけい)じゃないかと思いますが。

キレイなおべべで歩く項羽。
画面ズラからして、劉邦組とは違ってきます。
どうやら街で、<馬市>のようなものが開かれているようです。
馬好きの項羽はうろうろしながら、ひとつの馬のそばへ。

「出身は?」
「馬のですか?」
答えたのは、その馬を売っているおじいちゃん。よたよたとかわいらしい。
項羽に、いや、おじいちゃんの出身だ、と言われて、
「下相(かそう)です」
どうやら、楚(そ)からいらっしゃったようです。
「この馬も下相から来たのか?」項羽は馬をなでなで。
「この馬は楚の国から来たのだな」
懐から金の入った袋をとりだし、丸ごとおじいちゃんに渡します。(ボンボンめ!)
さすがの金額に驚いて、
「こんなに?」
あわてるおじいちゃんが、
「ありふれた馬に、これは多すぎます」
と言うと、項羽は、下相の馬がありふれているはずがない!とか何とか。
おじいちゃんも項羽が楚の出身だと知って、いろいろしゃべります。
「不作なのに税が多すぎる」とか。
項羽は、今頃は美しいさかりであろう故郷を想い、そこを駆けていたであろう馬を想い、
しかし故郷をこのように離れなければならなかった馬に自分を重ね、
くーーっ、と、目に涙をためて、

「この私も、お前と同じ、さすらう馬だ」
え………?
テレビの前でボウゼンとしているうちに、項羽は感傷をふりきるように
やおら馬に飛び乗り、駆け出してしまいました。

あああ、どこへ行くんだ。

山の上まで来たんでしょうか??
雨が降っているので霧がかかっていてわかりにくいのですが、山脈のむこうに
広がる平野が見えます。おそらく、楚の国ではないかと思います。
「くーーっ、やりきれん…!!」
という表情でそれを見ている項羽。すると……

あ…『大風吹』が流れ出した…。
このブログにも貼り付けた、例の、オープニングでよく流れる熱い歌です。

もちろん、項羽も歌う!!
なぜって、熱い漢(おとこ)の血潮が止まらないからだ!!

秦軍と戦う項燕(こうえん)将軍の姿が挟み込まれます。
項羽の想いがいよいよ燃え上がってきました。

すると、後ろの林から騎馬がいっぱいやってきた。
なんだろう…敵?味方?
振りかえる項羽の前にズラリと並んだ彼らのひとりが、
「みんな歌え!」
あ、味方だ。え?歌うの?
馬に乗ったまま、雨に打たれながら、みんな歌いだしました。

みんなの歌を聞き、感極まってきた項羽。
荒ぶる魂をおさえきれません。きっ、と山の向こうの空を見上げると、

「呀(ヤ)ァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
叫んだ…!!
「わはははははははははははっ!!!」
↑これは私の笑い声です。ば、爆笑してしまった…。
やっぱり…どうしても…おもしろかった…。
でもすぐに気を取り直して、「笑ってすみませんでした…」
項羽に謝りました。
さて、項羽が天に向かって咆吼しているその頃。
街でロバを引く項梁おじさんは、

街の人に声をかけられ、この笑顔。すっかり好々爺状態。
顔が広いようで、みんなから声をかけられます。
このおじさんには、これも手の内です。もちろんちゃんと、

仲間を集めて密会もかかしません。
項燕将軍の御霊を祭って、みんなで今後の相談。
とにかく、まだ時期ではないから、準備をしようという話。
項羽もまだ子供だから、成長を見守ろうとのこと。おじさん曰く、
「戦の話をすれば、我を忘れ、最後まで聞かずに外へ飛び出していって、
剣を振り回し暴れるだろう」
一同、笑。みんなも同感のようです。愛されぼっちゃんですね。

さてその後。項梁おじさんは、教育熱心です。
項羽に剣の手ほどきをしてもらう先生を見つけてきたようです。

もさっとしたおじさん師範。
もう剣をふるわなくて久しい…とか。でもやるよ、とのこと。

山で叫んでも鬱屈が晴れない項羽は、手ほどきに乗り気ではないようです。
じっと下を見たまま興味なさげ。

とはいえ、さっそく稽古は始まります。
師範は、まずは礼儀からということなのか、剣(に見立てた木の棒)を
両手に捧げて、自分の名を名乗り、剣の名前、剣の寸法の紹介までしてから、
項羽にもやれ、といいます。
項羽も、「マジで…?」という顔をしながら名乗りだしますが、

笑っちゃった。
「まるで大工のようだ」
項羽が求めるのはいつでも実戦的なことです。
「師範、別のことを教えてください」
師範は、「勝負に勝つことだけを追い求めるのはうんぬん」と説教しますが、
項羽には知ったこっちゃありません。
「その前に、質問があります」

言ったとたん、だっと師範に殴りかかる。
師範もさっとやり過ごしますが、こんなに舐められてはたまりませんので。

「よかろう、思いあがった根性を今ここで叩きのめしてやる!」
木の棒を構えて、項羽に向かっていってしまった。
あああ、やめときゃいいのに…。

項羽、まず師範の棒を避けながら駆け出し、間合いをつめます。

そのまま、いよっ、と師範の胸元をつかんで、

力まかせに引きずり、

よいしょー!

ぐえ!地面に叩きつけられてしまう師範。

ついでに木も奪われていました。

「真剣なら、死んでいたのはどちらか?」
項羽は、死んだのは自分の方だと認める師範を
胸ぐらをつかんだまま引き起こして、
「失礼を、お許しください」
(こういうこと言うあたりが育ちのよさを思わせます)

さっさと家に入っていってしまいました。
稽古はこれが最初で最後になります。
あーあ、せっかくおじさんが用意した師範を。
怒られるぞー。
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えーー…。
この6話、ちょっとおもしろすぎていろいろあって長くなってしまいました。
実はまだあります…。
ので、このあとのことは次の記事で…。
(にしても、大爆笑してしまいましたが、山で叫ぶとこ。
あの雨の中、まばたきひとつせずに、あの感極まった演技をする
何潤東(ピーター・ホー)さんは素晴らしかったですね。
いい役者さんだなぁ)
劉邦が労役に四苦八苦している頃、おぼっちゃんは、秦に追われる身とはいえ、
鬱屈した青春を謳歌しておられるようです。
「早く暴れたい!」
と言うとただの乱暴者か。
「早く秦を倒したい!」
そんな感じ。