最近、『史記世家』の楚漢メンバー部分だけざっと読みまして、
おもしろかったです。
史実を集めて、どんな人だったのかを想像するのが楽しい。
著者の司馬遷が、張良さまの情報を集めながら、
「きっと、大きくたくましく、ずばぬけた容姿だろう」
と思っていたら、肖像画を見てみると、
「婦人美女のようであった」 (訳:岩波文庫『史記世家(下)』より参照)
なんてこともあったりして、美しい張良さまを想像しながら電車の中で、
「へ…へへへへ…」
ニヤニヤせずにはいられないのでした。
気持ち悪いなぁ、我ながら…。
では、本題です。
King's War21話です。省略版でお送りします。サクサク進めよう!!
でも今回は劉邦組では初の大掛かりな戦闘回でしたので、画像は多め。
第21集 『沛県を守れ』さて、前回の終わりにごちゃごちゃしていた章邯(しょうかん)将軍陣営。
章邯は司馬欣(しばきん)を呼び出すと、司馬欣に項梁(こうりょう)を調べて
もらいたい、と依頼します。

司馬欣に情報分析などを担当してもらえれば、自分は戦略に集中できるとのこと。
章邯将軍は度量のでかさを見せつけ、さっそうと歩いていくのでした。
その頃。
どうも沛県(はいけん)に秦軍が攻めてくるようです。
大騒ぎです。

さ~外にはデロデロと秦が進軍してきています。
これが章邯軍の派生軍なのか、もともと沛県付近を守る秦軍なのか…
秦軍の敵将の名前に聞き覚えがあったのですが、思い出しそこねました。
すみません。
とにかく、秦軍が攻めてくるようです。半年間の食糧強奪戦で少しは
戦えるようになったであろう劉邦組。攻城戦(守り側)は初めてですね。
やばい!ってんで、逃げ出した民もたくさんいるようです。
(どこに逃げても同じような気もしないでもないけど…そこら中荒れてるからなぁ)

城壁の上で、みんな勢ぞろい。蕭何(しょうか)さまが、3つ案があるそうです。

では、上の地図を参照していただきまして。
上:魏から兵を借りて秦軍の退路を断つ
中:沛県を蜂起、兵力をたもって、
薛県(せつけん:沛の北東にある街。今後でてきます)に退く
下:沛を守る魏に退路をたってもらうってんだから、章邯派生軍かな。
周勃(しゅうぼつ)が、曹参(そうしん)に、「なんでこんな大軍が?」とか
聞いてたし。急なことだったようです。
さて劉邦は、下策を採用。自分たちで沛を守ろう、ということになりました。
ま、だいぶ無理な話のようですが、やると決めたら準備準備。

そういうことで、みんなで戦いの準備です。
戦力差がありすぎるので、城門をやぶられて中までどんどこ来られるとおしまいです。
とにかく城壁で防ぐしかありません。城壁周辺で準備。
その間に、<身軽そうな兄、太ってて臆病な弟>という一般兵が出てきたり。↑
彼らは樊噲(はんかい)に誘われて樊噲の軍に入りました。

さーいよいよだ!ということで、演説しているのは曹参!(劉邦じゃないんかい)
ヒューヒュー曹参!がんばってー!(緑の服に茶色の革の鎧なんて服装まで好み♪)
「自分のための戦いではない!沛県の民のための戦いなのだ!」
と、かっこよく叫んでいます。
「秦軍をはばめ!故郷を守れ!」 (つづけて合唱)

合唱後、秦軍が攻めてきました。
雨あられと降ってくる矢。さっきの太った弟が、お兄ちゃんの背中にしがみついて、
「兄ちゃん、もうヤダよ、家に帰ろうー」
と、半泣きです。かわいそうに…。
戦闘は一種の狂気じみた感覚で突き進まなければいけないような一面があるかと思うので、
それに乗れなければひたすら怖いだろうなぁ…。
弟のうしろにいた男はお兄ちゃんに「怖いか?」と聞かれても、
「いや。腹いっぱい食えるなら」
と答えておりました。どっちもありうる状況です。

さーー秦軍の攻城兵器が火を噴いております。
燃える岩を投げつけてくる投石器。

それに合わせて、大軍が突っ込んできます。
(※このあと大規模な攻城シーンが何度もでてきますが、戦闘の規模に関係なく、
そこそこの攻城戦では何度も使われる映像なので、戦闘の大きさをこれで確認する
ことはできません!戦闘シーンには実は使い回し映像が多い King's War!
そこには目をつぶります!)

城門の上では壮絶な戦いが行われていますが、いざ破られた時には、
樊噲軍が迎え撃つようです。やる気まんまん。

「この門を守ることは、家を守ることと同じだー!」
と、叫ぶ樊噲は、つぶせー!、殺せー!、と直線的な言葉で士気を高めます。
やる気やねぇ。

こちらは、盧綰(ろわん)。
城門付近の仕掛けを担当しているようです。
壁を登ってくる秦兵に、油をかけたり、大掛かりな油壺で城門周辺を燃やしたり。

こちらは周勃。
城門を破って中に入ってきた秦軍を戦っていた模様。
で、曹参は城壁にいたのかなぁ?
位置がわかりませんでしたが、大いに戦っておられました。

で、最終的には、勝ちました。
(というか、抵抗が激しいので秦軍がいったん退いた)
劉邦の側近ズが、後光を受けて並んでいます。いい画だなぁ。
日曜日の戦隊ものみたいだ。
勝ったぞォォーー!うおぉぉー!とみなさん叫んでおります。
(曹参だけ無言で笑顔。ポージングが素敵)
ま…コイツらが何の上に乗ってるのかというと、城門の下に折り重なった
死体なんですが…敵味方入り乱れての激しい戦闘でした。
わざわざ…その上に乗らんでも…。画ヅラはかっこいいけど。

さていったん退いた秦軍ですが、もちろんまた来ます。
夜になって秦軍が兵を集めているという話を聞き、蕭何さまが演説。
(郡守が兵を率いてきた、ということなので、もともとこの地の郡守が章邯から
増援を受けている感じでしょうか)
「あと3日守り抜こう!」
そしたら何とかなるさ!と蕭何さまが言うので信じたいところ。
その後、秦軍は夜襲をしかけてきましたが、どうやらこれも追い払えたようです。
底力あるなぁ、沛県は。

翌朝、やっぱり援軍を求めるかどうか話し合い。
でも援軍に逆に沛県を乗っ取られる可能性もあるということで、
劉邦は自分たちだけで沛県を守ろうと主張しています。しっかりしてきたもんだ。
するとそこに周勃がやってきて、なんと、トラブルメーカー雍歯(ようし)が
兵を連れて脱走したとか。東門を抜けて外に出ちゃったらしい。
そういえば、さっき謎の雍歯が外を走ってるシーンがあったなぁ。
なにしてるのかはさっぱりわからなかったけど…。

で、雍歯はというとですね、どうやら勝手に外に飛び出して、
秦軍に攻めかかっていたようです。どれだけの兵を連れて行ったのかは
知りませんが、なんとこの突撃で秦軍は本格的に退却してくれたようです。
まじか。やる気なしかよ。(上の画像は雍歯のスローシーンのやる気の顔)
馬に乗って戻ってきた雍歯。(徒歩だったはずだけど…秦軍のを奪ったのか?)
勝手に出たので命令違反です。
命令違反は<斬首>ですが、秦軍を追い払ったと雍歯は満足気で、
どうとでもしろや!という態度。
出迎えた劉邦は、本当なら斬首だが、とニヤっと笑って、
「おまえに褒美をやる」
そう言って、雍歯が乗っている馬を自ら引いて歩いていきます。
リーダーが馬を引くなんてことは、まーありません。ご褒美ですね。
雍歯も思わず、
「ワハハ!ありがたい!感謝します!」
敬語。笑
自分たちも戦ったのに…と、盧綰や樊噲は不満そうにしております。
とはいえ、秦軍が退却してくれたので、ほっとひと安心じゃないか。
劉邦軍、無事、戦いに勝利しました。

さてその頃、こちら項梁ひきいる楚軍。
主要メンバーが集まっての会議中。なにかというと、
涂山(とざん)というとこに、桓楚(かんそ)と余英(よれい)という男がいて、
仲間を集めて盗賊をしているとか。
どうやらその2人は武勇に長けた武将で、仲間も度胸のある奴らなんだとかで、
人集めに熱心な項梁は、ぜひ仲間にしたいらしい。
じゃ、誰が行く?項梁が行く気でしたが、ちょっと都合が悪いということで、
結局は項羽(こうう)が行くことになりました。
「短気は禁物だぞ」と項梁おじさんに釘を刺されるぼっちゃん。
「わかっております」とすまし顔ですが…。
(ほんとにわかってんのかよ)
誰を共に連れて行く?と聞かれて項羽が答えるのと、
龍且(りゅうしょ)が立ち上がるのとが、かぶります。
龍且「私が…」
項羽「龍且で…」

あらウレシー、ということで、龍且がにこっと笑います。
いい奴だなぁ…龍且。まっすぐな感じが。
そんなこんなで、ぼっちゃんは仲間集めのお使いに出ることになりました。
沛県では、ひと安心ということで宴会。
「1杯目は雍歯に乾杯しよう」と、蕭何さまが言い、乾杯しますが、
盧綰のやつが不満たらたらで夏侯嬰(かこうえい)まで巻き込んで
イヤミをかまします。
小せぇ奴だな盧綰!(気持ちはわからいじゃないけどさ)
その後、書簡がきたというので蕭何さまと劉邦は奥の部屋へ。
書簡は魏の周市(しゅうし)からとかで、要約すると、
「金をやるから魏に降れ。従わないなら沛県を落とすぞ」
というもの。劉邦は返事をだそう、と蕭何さまに代筆を頼みます。
(劉邦は字が得意ではない)

「劉季(りゅうき)は楚人だから、恭順はしない」
して欲しいなら、こちらへ来てください。
大きな鍋を用意してお待ちしています。とか言ってから、劉邦が、
「酒の肴にしてやる!」と叫ぶと、蕭何さまも「ハハハ、いいぞ」と笑ってくれます。
この代筆シーンはかわいい…。
劉邦にはだいぶ独立心が芽生えているようですね。がんばれ。

さて、こちらは涂山にお使いにやってきた項羽と龍且。
なごやかにお出迎えしてくれたのは、

余英(よれい:左)と、桓楚(かんそ:右)。
そういえば、桓楚といえば、だいぶ前に名前だけ出てきています。
ネジの飛んだプッツン項羽に殺された、会稽(かいけい)の郡守、殷通(いんとう)が
挙兵する際に探していた武将ですね。
(殷通につていは省略!忘れた、という方はこちらご参照⇒
13話つづき)
2人をどうやって仲間にするのかなーと思っていると、なんだっけ…もうよく…
思い出せないんですが…
「私が、おまえたちの言う、英雄だぞ、このやろーー!!」
ま、そんな感じで(こんなこと言ってはいませんでしたが)、大人が7、8人がかりでも
動かせなかった鼎(かなえ)をウラーー!と片手で持ち上げた項羽。
パワーの違いを見せつけ、涂山のみなさんの度肝をぬきます。
プロレスラーかよ…。
息を呑む桓楚が思わず、「人間技じゃない……」とつぶやいて、21話は終わりです。
ま、力技をみせつけることにより信望を得るというのはこういう荒くれ仲間には
よくあることです。(軍でもかな)
項羽はそういう点でも英雄たる素質を持ち合わせていた、ということでしょうか。
見た目が強そう、というのは重要なようです。
(その点、史実的にも、どんだけ勝ち進んでも仲間の士卒にさえ、なめて見られがち
だった韓信は、やっぱり見た目はどどーん!としていなかったのではないかと思います。
背は高かったみたいですが。これは余談でした)
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ということで、省略版で21話はひとつにまとめました。
こっちの方が楽だなーー。しばらくこれでいきたいと思います。
そのうち、張良さまや韓信が登場すれば白熱して長い記事になるだろうけど…。
あ、ちなみに、項羽の鼎の話は史実です。
それで桓楚たちをびっくりさせたかどうかは知りませんが笑、史記にも
<鼎を持ち上げられる力持ち>だった、と書かれています。
ムキムキヒーロー項羽。背も高かったそうです。